お正月には「おせち料理」、1月7日は七草粥、7月下旬の土用丑の日にはウナギなど。他にも、受験前にはキットカット、バレンタインにはチョコレートなど。
日本人は、節句に合った食べ物を好んで食べる傾向にありますよね。では重陽の節句には何を食べるのでしょうか?
そこで、ここでは重陽の節句に合う食べ物4選をご紹介するとともに、重陽の節句の意味もお伝えします。
重陽の節句で食べる食べ物1 栗ごはん
どうして重陽の節句で、栗ごはんを食べるのか?それは、室町時代や江戸時代には、重陽の節句は栗の節句と言われていて、秋の収穫祭で、栗ごはんを食べてお祝いする習慣がありました。
栗は栄養がたっぷり含まれている健康に良い食材です。栗の主な成分は、でんぷんです。デンプンは人のエネルギー源となり、疲労回復効果があります。
その他にも、美肌効果や、風邪予防になるビタミンCや、むくみをとってくれるカリウム、抗酸化作用のあるタンニン、代謝に必要なパントテン酸など、栄養が豊富に含まれています。
【栗ご飯の作り方】
- まずお米2合、栗15から20粒、お酒、みりん、塩、出汁粉末を用意します。
- お米はあらかじめ研いでおきます。
- そして栗を剥きます。
- 栗はぬるま湯に15分くらいつけておいてから剥くと、剥きやすいです。
- 剥くときはお尻側から剥いていくと、綺麗に剥けます。
- 剥いた栗は水につけて、あくを抜きます。
- お釜にお米とお酒大さじ2、みりん大さじ2、塩1つまみ、出汁粉末小さじ1を入れます。
- その後2合のメモリまで水を入れます。
- 最後に栗を入れて炊飯します。
- お好みでごまをふりかけても美味しいです。
重陽の節句で食べる食べ物2 食用菊
重陽の節句では、昔から菊が食用菊として栽培されてきました。
菊は中国では、薬草として用いられていて、不老長寿に効果があるとされてきました。そして、日本にも食用菊が伝わりました。
食用菊には2種類あって、小輪と大輪のものに分けられます。用途も分けられ、小輪の食用菊は、刺身のつまや料理の彩として使われます。
また、数滴醤油を垂らせば、菊の苦みを味わうこともできます。大輪の食用菊は花びらを汁物に浮かべたり、お酒に浮かべたりします。
また、酢の物やあえ物、天ぷらにして食べます。花びらは、柔らかな歯ごたえで甘みがあります。菊の花には、葉酸やβカロテン、ビタミンCが豊富に含まれていて、健康に良い食材です。
肩こりや冷え、抗酸化作用や美肌効果があり、女性に嬉しい栄養成分がたっぷり含まれています。また、コレステロールを下げる効果もあります。
菊のおすすめレシピは、菊のお浸しです。次に菊のお浸しの作り方をお伝えします。
【菊のお浸しの作り方】
- 食用菊とお酢を用意します。
- 紫の菊と黄色の菊がありますが、黄色の菊のほうが苦みが強いので、お好みでどちらかを用意してください。
- 鍋に1リットルのお湯を沸かしてお酢を15cc入れます。
- 菊を入れて素早く箸でかき混ぜてザルにあげます。
- 数回お水を換えて冷やします。
醤油をかけて食べたり、ほうれん草を入れて作ると彩りが綺麗になります。
重陽の節句で食べる食べ物3 秋ナス
昔から9のつく日にナスを食べると、中風(熱や頭痛、肩こりなど)にならないと言われていました。このことから重陽の節句にナスを食べるようになりました。
そんなナスですが、ナスのおすすめレシピはナスの煮びたしです。
【ナスの煮びたしの作り方】
- なす、だし汁、醤油、みりんを用意します。
- ナスは、縦半分に切って切れ目を入れて、水につけてアク抜きをします。
- 油をひいたフライパンで、ナスを皮の面から焼いていきます。
- 焼き色がついたら、だし汁100cc、醤油大さじ1、みりん大さじ1を入れます。
- 約10分蓋をして、煮たらできあがりです。
お好みですりおろした生姜や、刻みネギを添えて食べると美味しいです。
重陽の節句で食べる食べ物4 菊酒
もともと中国では、奇数は縁起が良く、偶数は縁起が悪いとされていて、最も縁起の良い9月9日に山へ登り、菊酒を飲んで不老長寿を願う風習がありました。
菊には長寿の効果があるとされており、平安時代に日本へも伝わり、日本でも奇数の9が重なる重陽の節句で菊酒を飲んで無病息災を願ったり、長寿でいられるように願うようになりました。
そもそも重陽の節句とは?
そもそも、重陽の節句は一年のうちに5つある節句の1つです。
端午の節句や桃の節句はなじみがありますが、重陽の節句は「菊の節句」とも言われる9月9日の節句です。
そのほかにも人日の節句や七夕の節句があります。
節句はもともと中国の唐からきていて、奇数の月日は縁起が良く、偶数の月日は縁起が悪いとされていました。そのため、奇数が重なる日をお祝いすることから、これらの節句が始まりました。
重陽の節句である9月9日は奇数の「9」が重なっていて、月日の中でも最大の陽数であるため、不老長寿を願ったり、繁栄することを願う日となりました。
重陽という名前の由来は、陽の最大極数である「9」が重なっていることから名づけられました。
もともとは中国の行事でしたが、平安時代に日本に伝わり、重陽の節句として定着しました。
中国ではこの日に不老長寿を願い近くの山に登って、菊をお酒に浸して飲んだりしました。このことから、日本でも重陽の節句が官中行事となり、菊酒を飲むようになりました。
今では他の節句と比べてあまり有名ではなくなってしまいましたが、以前は盛大にお祝いをしていました。現在でも、不老長寿、無病息災を祈願する重陽際が行われたり菊花神事が行われたりしています。
まとめ
いかがだったでしょうか?
重陽の節句では、栗ごはん、食用菊、ナス、菊酒を食べるのが一般的です。
絶対にこれを食べないといけないわけではないですが、節句に合わせて食べ物を決めておられる方には、ちょうど良いでしょう。
重陽の節句は他の節句と比べて、あまりメジャーな節句ではありません。その反面、意味はしっかりとしていて、不老長寿や繁栄を願う節句でもあります。
これを機会に、重陽の節句を祝ってみるのはどうでしょうか?