マナティとジュゴンって同じ動物だと思っていませんか?
水族館に行ってみてみると、「マナティ」って書いてあるけどこれジュゴンじゃないの?なんて思ったりしたことはありませんか?
実はこのマナティとジュゴンは似て非なるものなのです。
そこで今回は、ジュゴンとマナティの違い7つのポイント。人魚と呼ばれるのはどっち?について、お伝えします
目次
マナティとジュゴンの違い1 尾びれの形
マナティの尾びれは、例えて言うと「しゃもじ」のような丸い形をしています。ジュゴンはイルカやクジラのような、三角型にとがった尾びれをしています。
ジュゴンは、泳ぐときは時速6~10キロものスピードが出ます。マナティは時速5~8キロほどですので、やはりイルカやクジラのようなとがった尾びれは、早く泳ぐのに適しているようです。
こちらがマナティです。尾ひれがしゃもじのような形をしているのが分かります。
そしてこちらがジュゴンです。三角形に尖った尾ひれをしています。
マナティとジュゴンの違い2 口の形
ジュゴンは口が下向きです。マナティは口がそこまで下向きではありません。
こちらがジュゴンの口です。下向きですね。
そしてこちらがマナティの口です。下向きではあるものの、ジュゴンほど下向きではありませんね。
これは、ジュゴンの口が下向きなのは、海の底に生えている海藻(アマモ)を主に食べるためです。口の中の上側に「そしゃく板」と呼ばれるおろし金のような部分があります。ここで植物をすりつぶして食べ歯はほとんど使わずに餌を食べています。
マナティは、口の奥に20本以上歯が生えていて、そのうち6本くらいを使って、海面の水草などの植物をすりつぶして食べます。
他にも細かい部分ですが、マナティには爪があったり、前肢に肘があるなど、祖先である象に近い特徴が見られます。
そういうことで、ジュゴンは海底に生える海藻しか食べないので水族館での飼育が大変なのですが、マナティは水族館では水草のホテイアオイや、野菜のレタスなども食べるので飼育しやすいようです。
そのため、日本で水族館でジュゴンを飼育しているのは、三重県の鳥羽水族館だけです。
マナティは5件ほどの水族館で飼育されています。※鳥羽水族館(三重県)沖縄美ら海水族館(沖縄県)新屋島水族館(香川県)熱川バナナワニ園(静岡県 伊豆)よみうりランド海水水族館(東京都)などで飼育されています。
マナティとジュゴンの違い3 皮膚の違い
ジュゴンは体の色は灰色です。お腹は少し白いです。全身なめらかな皮膚でよく見ると長くて柔らかい毛と短い剛毛で覆われています。きびしい寒さや外敵の攻撃から体を保護しています。
マナティは体の色はグレーがかった黒です。自然の海で過ごしているマナティは、全身の皮膚に、苔やフジツボがついていることが多いです。
マナティは主にに河川や河口、小魚などとの共生(体に生えた苔などに小魚が住んでいるそうです。)しています。だから体にフジツボを生やしている状態なんでしょう。
ちなみに、水族館で見分ける場合は、どちらも体は綺麗なので、フジツボが付いているかどうかで見極めるのは難しいでしょう。
マナティとジュゴンの違い4 生息地
ジュゴンは、太平洋の海に棲んでいて、マナティは主に大西洋の川に棲んでいます。沿岸部に棲息していますが、淡水域のみに生息する、アマゾンマナティという種もいます。
これは、ジュゴンもマナティも海牛類と呼ばれる仲間です。化石などの研究から象と同じ祖先の動物が進化して水生動物になったのではないかといわれています。
ですので、もともとは同じ種類だったのですが、ジュゴンは海へ、マナティは河川に棲むことを選び、その環境に合うように体を進化させていったのではないかと言われています。
マナティとジュゴンの違い5 大きさ
ジュゴンは体長は250~300cm、体重も250~600kgです。平均寿命は50~70年です。
マナティは体長300㎝~400㎝、体重は最大で1000kgです。ですから、ジュゴンより一回り大きいですね。
ジュゴンは西太平洋からインド洋に分布。暖かい海の水深1~5mの浅瀬に棲息しています。一方マナティはカリブ海~アメリカ大陸~アフリカにかけて大西洋全域となっています。
マナティは川や泉の温かい水域に暮らしており寒さに弱く、水温が20度~15度を下回ると死の危険にさらされます。温かい水域であっても体温を保つために体重が多く進化したのではないかと言われています。
ジュゴンも同様に暖かい海で棲息していますが皮膚の表面を覆う毛で体温が保たれるので、マナティほど低温に弱くはありません。
マナティとジュゴンの違い6 性格、顔つき
よく似た動物である、ジュゴンとマナティなのですが、顔つきが違います。
こちらはジュゴンの顔つきです。
ジュゴンは、少し細長い顔で目が小さくて円らです。ジュゴンには、マナティにはない牙があります。ただ、これはなかなか見えないので、見分けるために使うのは難しいです。
ジュゴンは繊細な性格でなかなか海でもお目にかかることはできません。
天敵はいないジュゴンですが、浅瀬に棲む大きな動物という事で生き残るためにも用心深い性質になったのだと思われます。聴覚も発達しており人間の8倍もの聴覚があるそうです。
一方、 マナティは大きなまん丸の目をしており、鼻先にヒゲのような毛があります。
こちがらマナティの顔つきです。
この毛で泉の場所を感知しています。性格は、温和で人懐っこいです。野生のマナティーは、川に現れた人間に興味を持って近づいてくるほどです。
マナティの棲息する環境では、天敵がおらず、他の生き物とも共生しているマナティならではの性格なのです。
しかしその人懐こさ、好奇心旺盛な性格から人間の乗るボートに近づいてきて、ボートの底についているモーターでケガしてしまう事が多いのです。
そのくらい無邪気なおっとりした野生生物ってすごく珍しいですよね。
マナティとジュゴンの違い7 日本での飼育数
ここまで、ジュゴンとマナティの違いについてお伝えしてきました。
それでも、読んでいると、マナティ・ジュゴンという言葉がたくさん出てきて、頭がこんがらがってしまっていませんか?
そこで、超簡単に見分ける方法があります。それは日本での飼育数です。
率直に言うと、三重県の鳥羽水族館で以外で、飼育されているのは全てマナティであるという事です。
日本でジュゴンを見れるのは、鳥羽水族館(三重県)で1頭だけです。
マナティは、鳥羽水族館(三重県)沖縄美ら海水族館(沖縄県)新屋島水族館(香川県)熱川バナナワニ園(静岡県 伊豆)よみうりランド海水水族館(東京都)などの5施設で飼育されています。
ややこしくなるのは、鳥羽水族館に行った時ですね。
鳥羽水族館には、ジュゴンもマナティもいるので、少々ややこしくなります。ただ、飼育エリアが違うので、そういった意味では見分けは付きやすいです。
マナティとジュゴン。人魚はどっち?
ジュゴンとマナティと言うと、どちらが人魚か?という疑問を持っている方もおられるでしょう。
賛否両論があるかとは思いますが、人魚と言われるのは一応ジュゴンのようです。
人魚の伝説のモデルとなったのは、このジュゴンであるとする俗説がある。西洋人ではじめてジュゴンを見たのは16世紀にインド洋を航海したポルトガルの探検家兼海賊であり、1560年に、7頭のジュゴンがヨーロッパへ持ち込まれたという。
引用元:wikipedia ジュゴン 伝承とイメージ
wikipediaではこのように書かれています。
反面マナティについて、人魚伝説の記載はありませんでした。なので、一応は人魚伝説を持っているのはジュゴンの方ですね。
ちなみに、ジュゴンは世界でも4カ所の施設で5頭だけしか飼育されていません。1頭はシンガポールのアンダーウォーターワールド、1頭はインドネシアのシーワールド、2頭をオーストラリアのシーワールド、そしてもう1頭は日本の鳥羽水族館で飼育されています。
マナティは日本では5つの施設で飼育されています。※鳥羽水族館(三重県)沖縄美ら海水族館(沖縄県)新屋島水族館(香川県)熱川バナナワニ園(静岡県 伊豆)よみうりランド海水水族館(東京都)などで飼育されています。
その希少性から考えても、ジュゴンに軍配があがりそうです。
個人的には、つぶらな瞳でおっとりした表情のジュゴンが人魚に見えるな~と思いますが。あなたはどうでしょうか?
まとめ
いかがだったでしょうか?
ジュゴンとマナティについてお話しました。
見た目でいうと、尾びれがとがったジュゴン、丸いマナティというのが覚えやすいですね。「ま」るい「マ」ナティって感じなんてどうでしょう?
マナティの爪は、胸びれの先についているのですが、なかなか良く見えないですが、見るととても象の爪に似ています。
ですので、象のような哺乳類が先祖で、川に棲むようになったマナティが海に棲むために体を進化させていったのがジュゴンなのではないかと仮説が立てられているようです。
マナティとジュゴンの違いについて、今回の記事を参考にしてみて下さいね。
ちなみに、余談ですが、表情と名前が一致していない事に違和感を感じるのは私だけでしょうか?ジュゴンと聞くと、怪獣っぽく聞こえません?反面、マナティと聞くと人魚っぽく聞こえる。そう思うのは私だけでしょうか?(笑)