彼岸花の開花時期はいつ?詳細情報と名所4選

日向薬師の彼岸花

暑さの盛りが過ぎて彼岸が近づいた頃、畔や土手、墓地などで、燃えるように真っ赤な花が群生している様子を目にしたことはありませんか?

花にまったく興味がない人でも、この花が「彼岸花」と呼ばれていることは、よく知っていることかと思います。

インパクトのある名前も影響して、彼岸花に関心を持つ人は多いようです。

「彼岸花の開花時期はいつなのか?」「彼岸花の種類は?」「彼岸花の花言葉ってなに?」「彼岸花が見れる名所は?」などなど。

ここでは、彼岸花の開花時期や、基本情報、名所などについてお伝えします。

彼岸花の開花時期はいつ?

その名前から推測されるとおり、彼岸花の開花時期は、秋の彼岸のあたりです。夏の終わりから秋の初めにかけて徐々に咲き始め、彼岸の頃には一斉に真っ赤な花を咲かせます。

稀に白い花を咲かせることもあり、また最近ではホームセンターなどで、ピンクや黄色の品種も売られています。

開花時期は早いもので7月のものもありますが、概ね原種と同じ、9月中旬から下旬のものが多いようです。

そもそも彼岸花とは? 彼岸花の基本情報

彼岸花の一年のサイクル

彼岸花の一番の特徴は、他の植物とは違う、独特なサイクルで一年を送ることです。

まず、小学校の理科の授業を思い出してみてください。多くの植物の場合、芽が出た後は双葉が開き、そこから本葉が出始めます。

茎は枝分かれしながら伸びてゆき、それぞれの枝に、たくさんの葉が茂ります。葉が十分に茂ると、蕾がつき、やがて花が開きます。

花が枯れると種ができ、落ちた種から、また次の年に芽が出ます。もちろん種類によって違いはありますが、こうやって冬の厳しい時期を種の状態で越し、温かくなると芽吹く植物が多いですよね。

しかし彼岸花の場合は、春・夏と、地上には一切顔を出しません。夏の終わりになって、急に茎だけが伸び始めます。

葉も枝もない、一本茎です。秋になると、葉が一枚もないまま花が咲きます。晩秋、花と茎が落ちると(球根性の植物なので、花が枯れても種はできません)、そこでやっと葉が茂ります。

葉は冬のあいだ青々としていますが、春になると枯れてしまい、そこから晩夏までは、もう何も出てきません。花の中では、かなり変わり者の部類と言ってもいいでしょう。

彼岸花の有毒性

知っている人も多いかもしれませんが、彼岸花の球根には毒があります。誤って口に入ると吐き気や下痢を引き起こし、最悪の場合、中枢神経の麻痺により命関わることもあります。

冬場の姿はノビルなどの食用植物と似ているため、誤食するケースがよくあり、注意が必要です。

一説によると、「彼岸花」という名称は、彼岸に咲くという意味だけでなく、この有毒性に由来しているとも言われています。「食べたら彼岸(あの世)を見ることになるぞ」という意味だそうです。

一方で、毒が薬として利用されることは多く、彼岸花もその例外ではありません。

咳や淡の鎮静や、利尿作用を促す生薬として用いられるほか、アルツハイマー病の治療薬にも利用されています。

とはいえ、危険な毒であることに変わりはありません。くれぐれも、民間療法として勝手に利用しないように注意してください。

彼岸花にまつわる迷信

「持ち帰ったら火事になる」といった不吉な迷信が多いのも、彼岸花の特徴です。

これらの不吉なイメージは、彼岸になると墓地で大量に咲くことから来ています。おまけに毒もあるので、どうしても命に関わるイメージがつきまとうのでしょう。

しかし実際には、彼岸花は自然と墓地に群生するようになったわけではありません。人為的に植えられたのです。

というのも、昔は土葬だったため、小動物に遺体を掘り起こされることが度々ありました。

大事な故人の墓を暴かれないため、それらの動物を退治する目的で、敢えて毒のある彼岸花を墓地に大量に植えたのです。畔に群生しているのも同じ理由で、田畑を荒らす動物を避けるためです。

つまり、「墓地に咲いているから」「毒があるから」という理由で不吉な花だと捉えるのは、見当違いということです。むしろ彼岸花は、私たちの生活に深く密着した存在でした。

彼岸花の育て方

あまり迷信を気にせずに、庭に彼岸花を群生させたいと思っている人も多いようです。

先に述べたとおり、彼岸花は球根性の植物なので、種をとることはできません。一番簡単なのは、ホームセンターなどで球根を買ってきて植えることです。

園芸品種用に改良されたものは、「リコリス」という名前で売られており、だいたい7月以降に店頭に並び始めます。

植え付けは7~9月、日当たりの良い場所で、乾燥気味に育てましょう。害虫や病気に強く、管理も簡単で、初心者にも育てやすい花です。

小さなお子さんがいる家庭では、誤って球根を口に入れないよう、くれぐれもご注意ください。

彼岸花の花言葉

彼岸花には、いくつかの花言葉があります。

  • 情熱
  • 独立
  • 再会
  • あきらめ
  • 転生
  • 悲しい思い出
  • 想うはあなた一人
  • また会う日を楽しみに

燃えるような色から「情熱」「想うはあなた一人」、茎一本で咲く様子から「独立」、春のあいだ消えて晩夏に突如現れる生態から「再会」「また会う日を楽しみに」という言葉が連想されたのでしょう。

しかし同時に悲しみや、亡くなる別れをにおわせることもあって、贈り物としては好まれないようです。

彼岸花の別名

彼岸花の別名は、全国各地で1000以上にのぼります。

  • 曼殊沙華(まんじゅしゃげ)
  • 地獄花(じごくばな)
  • 幽霊花(ゆうれいばな)
  • 捨子花(すてごばな)
  • 剃刀花(かみそりばな)
  • 葉見ず花見ず(はみずはなみず)
  • 狐花(きつねばな)
  • 狐の松明(きつねのたいまつ)

などなど。

やはり不吉な名前が目立ちます。一方で「曼殊沙華」とは、天界に咲く花のこと。同じイメージでも、地獄ではなく天国を意識した捉え方もあるようです。

また、「剃刀花」「葉見ず花見ず」は、シンプルに生態を捉えた呼び名でしょう。

日本全国の呼び名を調べてみると、その地特有の彼岸花の捉え方がわかって、なかなか面白いかもしれません。

関東の彼岸花の名所

埼玉県 巾着田曼殊沙華公園

巾着田の彼岸花

【みどころ】

高麗川にかかる日本一長いトラス橋「あいあい橋」を渡ると、雑木林の中に500万本もの彼岸花が広がります。雑木林の中に群生する彼岸花は珍しく、とても貴重な光景です。

公園内にはハイキングコースが整備されているので、秋の行楽にもぴったりです。

【住所】

埼玉県日高市高麗本郷(開花シーズンの開園は7時~17時)

【アクセス】

電車
  • 西武池袋線「高麗駅」徒歩15分
  • JR川越線・八高線「高麗川駅」徒歩40分
バス
  • JR高麗川駅から国際興業バス(高麗駅経由、飯能駅行)「巾着田」下車、徒歩3分
  • 西武池袋線飯能駅から国際興業バス(高麗川駅行・埼玉医大国際医療センター行)「巾着田」下車、徒歩3分
  • 関越自動車道「鶴ヶ島」ICから40分
  • 圏央道「県央鶴ヶ島」ICから35分
  • 圏央道「狭山日高」ICから25分

【駐車場】

  • 車:1日500円(入場から夜12時まで。経過すると追加料金1日500円が必要。)
  • オートバイ:1日100円(追加料金1日100円)
  • 大型バス:3000円(要予約)

※開花シーズンは大変混雑するため、公共交通機関の利用を推奨。

【料金】

開花シーズンは有料:大人300円、中学生以下は無料

神奈川県 日向薬師の付近一帯

日向薬師の彼岸花

【みどころ】

「日向薬師の彼岸花」で有名ですが、実際にはお寺の参道から近くのバス停まで、かなり広範囲に渡っての群生地です。

のどかな田園風景と彼岸花のコラボレーションは、どこか懐かしい、ノスタルジックな気分を掻き立てます。

【住所】

神奈川県伊勢原市日向 能力開発センターから日向薬師までの付近一帯

※彼岸花の見頃になると、「日向薬師」バス停そば・能力開発センターそば2か所に、臨時観光案内所が設置されます。問い合わせは、伊勢原市観光協会まで。

【アクセス】

バス

小田急線伊勢原駅 北口3番乗り場から神奈川中央交通路線バス(日向薬師行)

「洗水」~「日向薬師」バス停あたり

東名高速「厚木」ICから30分

【駐車場】

日向薬師の無料駐車場が2か所ありますが、参拝の方の迷惑にならないよう注意しましょう。

関西の彼岸花の名所

京都府 大原の里

京都散策 大原の里 彼岸花(曼殊沙華) Cluster amaryllis  2017.09.21 love kyoto

【みどころ】

大原は、京都市の外れにある静かな山里です。里全体で、高野川の土手や田んぼの畔に群生する彼岸花が見られます。三千院や寂光院といった隠れた観光名所もあり、しっとりとした秋の風情を楽しめます。

【住所】

京都市左京区大原

【アクセス】

バス
  • 京都駅バスターミナルC3乗り場から、京都バス17系統・18系統(大原行)「大原」下車
  • 京阪電車出町柳駅から、京都バス16系統・17系統・18系統(大原行)「大原」下車
  • ・名神高速「京都南」ICから60分
  • ・名神高速「京都東」ICから45分

【駐車場】

大原駐車場、大原女駐車場、岩佐駐車場、そのほか民間駐車場多数

大阪府 万博記念公園

万博公園 彼岸花 2017

【みどころ】

万博公園内「自然文化園」「日本庭園」エリアの広範囲に渡って、たくさんの彼岸花が植えられています。

オーソドックスな赤色だけでなく、珍しい白色や黄色の品種は一見の価値ありです。(彼岸花だけでなく、広い公園に堂々とそびえ立つ「太陽の塔」も、ぜひ見てみてください!)

【住所】

大阪府吹田市千里万博公園(開園時間は9時半~17時)

【アクセス】

電車

下記それぞれの駅から、大阪モノレール「万博記念公園駅」「公園東口駅」下車

  • 阪急:南茨木駅、山田駅、蛍池駅
  • 大阪メトロ:千里中央駅(御堂筋線、北大阪急行線)、大日駅(谷町線)
  • 京阪:門真市駅

名神高速「吹田」ICすぐ

※このあたりは常に大変混雑しているため、公共交通機関での来園を推奨。

【駐車場】

西第1駐車場、日本庭園前駐車場、中央駐車場、南駐車場、東駐車場、EXPOCITY駐車場。

平日は2時間まで400円、以降1時間ごとに200円追加、4時間超から24時間まで1000円。

休日は2時間まで600円、以降1時間ごとに300円追加、4時間超から24時間まで1500円。

【料金】

日本庭園・自然文化園共通:大人250円、小中学生70円

まとめ

彼岸花について紹介してきました。

昔から人々の身近にあった花だからこそ、いろいろな迷信が生まれ、1000以上もの呼び名がついてきたのでしょう。そう思うと、彼岸花を好きな人も嫌いな人も、ちょっと見る目が変わりませんか?

この秋、彼岸花を目にしたら、長い歴史に思いを馳せてみてください。

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