さんまの内臓は栄養あるの?内臓の代表的な4つの栄養成分

秋刀魚

さんまの内臓(はらわた)、あなたは食べる派ですか?食べない派ですか?

「苦いし、なんだか気持ち悪いし、普通残すでしょ!」という人もいれば、「いやいや、あの部分に一番栄養があるんだ!残すなんてもったいない!」という人もいることでしょう。

そもそも、さんまの内臓は本当に栄養があるのか?というか、さんまそのものには、どんな栄養があるのか?

そこで今回は、身近でありながら実はあまりよく知られていない、さんまの栄養分についてお伝えします。

さんまの内臓に含まれる栄養分

ほとんどの魚は、調理する前に内臓をきれいに取り除きます。一方で、さんまは、内臓が入ったままの姿で出されることも多いかと思います。

なぜかというと、さんまには胃がないため、他の魚と違って食べた物が長時間内臓に残されることがなく、食中毒を引き起こしにくいから、というのです。

また、余計な物質が含まれない分、苦みも少ないほうだといいます。

内臓を食べない派の人は、「害がないのはわかったけど、じゃあ利はあるの?」と思われることでしょう。実は、利は大いにあります。

以下に挙げるのが、さんまの内臓に含まれる主な栄養分と、その働きです。

ビタミンA

ビタミンAが不足していると鳥目になる、というのは有名な話です。これは、暗い場所に目を順応させる機能(視覚の暗順応)に、ビタミンAが大きく関与しているからです。

また、粘膜を強くする働きも持っています。鼻や喉の粘膜が強くなると、細菌やウイルスの侵入を防ぐことができ、風邪をひきにくくなります。肌も粘膜の一種なので、美肌効果にもつながります。

ほかにも、成長促進作用や、ガンの予防効果もあります。

ビタミンB 12

赤血球の中にある、ヘモグロビンの生成を助けます。ヘモグロビンとは、血中の酸素を運ぶための物質です。

これが足りなくなると、体中の酸素が不足してしまい、立ちくらみ、倦怠感、動悸、耳鳴りなど、様々な症状が出てきます。

さらには、神経機能を正常に保つというのも、ビタミンB 12の重要な役割です

神経症状は、軽い場合は肩こりや腰痛、手足のしびれや軽い痛みといったものから、重い場合は認知症やうつ病なども引き起こします。

鉄分

ビタミンB 12と同様、ヘモグロビンの生成を助けます

特に女性の場合、月経によって血液と一緒に赤血球が体外に排出されてしまうため、ビタミンB 12や鉄分をしっかり補っていく必要があります。

カルシウム

カルシウムが骨や歯を作っていることは、多くの人が知っていると思います。また、不足するとイライラにつながることも有名ですね。

しかし実はそれ以外にも、出血を止めたり、神経や筋肉の働きに関与したりと、生命維持や活動のために重要な役割も果たしています。生きるために不可欠な栄養分です。

いかがでしょうか?敬遠されがちなさんまの内臓ですが、実は栄養の宝庫なのです。特に女性にとって必要な栄養分が多いので、肌荒れや貧血などでお悩み中の方は、思い切って食べてみるのも良いかもしれません。

さんまに含まれている栄養分

さんまの内臓が栄養豊富なのは既に解説したとおりですが、では、さんまそのものには、どんな栄養分が含まれているのでしょうか。

EPA(エイコサペンタエン酸)

血管と血液を健康に保つことにより、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞のリスクを減らします。

血液をサラサラにする、中性脂肪を下げる、血管を丈夫に保つなど、中高年の健康に関する悩みを解決する救世主とも言えるでしょう。

EPAは、体内ではほとんど作ることができません。さんま以外にも、イワシやサバなどの青魚に多く含まれており、最近ではサプリメントも売られています。

健康診断でドロドロ血液や中性脂肪の高さを指摘された人は、積極的に摂取するように心がけましょう。

DHA(ドコサヘキサエン酸)

「頭を良くする栄養分」の代名詞とも言える、DHA。そのイメージ通り、脳細胞を活性化させる働きを持ち、記憶力の向上、頭の回転を良くする、脳の老化防止といった効果が期待できます。

また、体内の免疫機能を調整することで、炎症を抑える役割も果たします。そのため、花粉症やアトピーなどのアレルギー反応、さらには糖尿病の合併症状の抑制にも効果的です。

EPAと同じく、体内で作ることはできません。さんまを食べる上で最も意識したい栄養分は、このEPAとDHAだと言っても過言ではないでしょう。

ビタミンD

カルシウムとリンの吸収を促進します。たくさんカルシウムをとっているのに骨が弱いという人は、ビタミンDが不足している可能性があります。

最近では、若い人でも骨軟化症や骨粗鬆症になることが多いと聞きます。カルシウムとビタミンDをセットで摂るようにして、丈夫な骨を保ちましょう。

上述したとおり、さんまの内臓にはカルシウムが含まれているので、内臓も身も一緒に食べてしまえば簡単で良いですね。

ビタミンE

ビタミンEには、抗酸化作用があります。つまり、細胞や脂肪が酸化されるのを防いでくれる、ということです。

鉄が酸化したら錆びるように、私たちの体もまた、酸化することによって老化現象などの不具合が生じます。

たとえば肌が酸化すれば、シミやたるみにつながります。コレステロールや中性脂肪が酸化すれば、動脈硬化やがんの引き金となります。

これらを予防して若さと健康を保つために、ビタミンEは必要不可欠な栄養分です。

ビタミンB2

主に皮膚や粘膜を強くする働きを持っています。口内炎になりやすい人や、風邪をひきやすい人は、口内や鼻、喉の粘膜が弱いことが予想されます。

そのため、ビタミンB2を摂取して粘膜を強化することで、ある程度の改善が期待できます。

冷凍のさんま、缶詰のさんまの栄養分は?

秋刀魚缶

ここ数年、さんまは不漁のため値段が高騰してきています。

少しでも安く買うために、冷凍や缶詰で我慢しているという人も多いでしょう。そこで気になるのが、「冷凍や缶詰でも、栄養分に変化はないのか?」ということかと思います。

結論から言うと、冷凍や缶詰でさんまの栄養分が大きく損なわれることは、ほぼありません。

それどころか缶詰の場合は、生で食べるよりもDHAの流出を防げたり、カルシウムが多くとれたりと、むしろメリットのほうが大きいところもあるのです。

それでは、冷凍と缶詰、それぞれの特色を以下にまとめます。

冷凍のさんま

最近では冷凍技術が進化しているため、味や栄養分の劣化は減ってきました。問題は、冷凍するという行為そのものよりも、解凍するときのやり方にあります。

通常、冷凍した魚を解凍するときには、水がたくさん出ますよね。この水は、魚に含まれていた水分です。

ビタミンBやDHAは水に溶ける性質があるため、この水分の中に溶けてしまい、一緒に外に流れ出てしまう可能性があるのです。

家で解凍するときの方法として一番良いのは、電子レンジや常温ではなく、冷蔵庫で解凍することです。時間をかけてゆっくり解凍することで、無駄に水分が損なわれることなく、栄養分や旨味を逃しにくくなります。

急いで解凍したい場合には、包装したままビニール袋などに入れて輪ゴムで縛り、水を入れた容器に浸してください。

その状態で、ごく細めの流水にさらし続けると、20~30分くらいで解凍できます。このとき、さんまを素のまま水に晒さないように注意してください。

栄養分や旨味を逃すどころか、余分な水を吸ってブヨブヨになってしまいます。

さんまの缶詰の場合

生や冷凍のものと違って骨まで食べることができるので、カルシウムは通常の倍以上の摂取量が見込めます。

成長期のお子さんや、魚が苦手なお子さんがいる場合は、缶詰で骨ごと食べさせたほうが良いかもしれません。また、缶詰に残った油や汁にはDHAがたっぷり溶け出しているので、捨てずに料理に使いましょう

その油を使って野菜を炒めたり、温めてバーニャカウダーなどに使ったりするのもいいですね。

問題点は、カロリーや塩分濃度が高くなってしまうことです。栄養豊富だからといって過剰に食べると、逆に生活習慣病のリスクを上げることになりかねません。

また、内臓はあらかじめ処理されていることが多いようです。塩分が気になる人や、内臓の栄養を期待する人は、生か冷凍のものを調理したほうが良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

女性の中には、さんまの内臓は食べない派だという人が多いかもしれません。しかし、実は女性にこそ嬉しい効果が、内臓にはたくさんあるということがわかりました。

美容と健康のために、さんまは内臓ごと食べる派に鞍替えするもヨシ。身だけでも十分な栄養分があるので、敢えて食べない派を貫くもヨシ。または、要領よくカルシウムまでとれる缶詰派になるもヨシ。

いずれにせよ、この秋はさんまを食べて健康になりましょう。

関連記事